第1節 - 呉用

第2巻 第4章 第1節

この節の概要

呉用は「趙仁」と名を変え、江南の方臘の館で数日を待った末に、許定らとともに方臘との会見に臨む。方臘は近く国家を建設する意思を示し、自らを「陛下」と呼ばせ始めていた。さらに深夜の密会では、許定に宋軍の戦術指導を、呉用には広域交易による軍資金の調達と江南の地形を踏まえた軍学の想定を命じる。十万の正規軍と数十万に及ぶ信者を組織化する方臘の実態、そして太湖に集まる梁山泊をも利用しようとする野望を知り、呉用はその恐るべき本性に直面する。


主要人物

呉用(ごよう)

  • 綽名:智多星
  • 所属・役割:梁山泊。現在は「趙仁」として方臘陣営に接触する軍師
  • 初登場:第1巻 第1章 第1節

顔の火傷を隠して身分を偽り、梁山泊再起のための工作と情報収集を続けている。方臘の急激な変貌と、その背後にある軍勢・宗教的動員力を冷徹に分析する一方、方臘の底知れぬ野望には戦慄を覚える。

方臘(ほうろう)

  • 綽名:なし
  • 所属・役割:その他。江南で宗教的結束を背景に新国家建設を企てる指導者
  • 初登場:第1巻 第6章 第3節

喫菜事魔の教義を用いて民衆を掌握し、十万の正規軍と多数の信者を組織化している。国家建設と対宋戦争への意思を露わにし、梁山泊の存在すら自らの計画に利用しようとする。

許定(きょてい)

  • 綽名:なし
  • 所属・役割:その他。元宋軍の将軍、青蓮寺の工作員、方臘の軍事指導役
  • 初登場:第1巻 第6章 第3節

方臘の陣営に潜入していたが、正体を見抜かれた上で宋軍の戦術を教えるよう命じられる。急速に進む方臘の挙兵計画と、太湖への敵意に動揺を隠せない。

方貌(ほうぼう)

  • 綽名:なし
  • 所属・役割:その他。方臘の弟、政務・記録担当
  • 初登場:第2巻 第4章 第1節

方臘の実弟として会見の場に同席し、謁見者の訴えを書き留めるなど陣営の実務を担っている。

方天定(ほうてんてい)

  • 綽名:なし
  • 所属・役割:その他。方臘の息子、新国家の丞相に指名された人物
  • 初登場:第2巻 第4章 第1節

方臘の息子として会見に同席し、新国家構想の中で丞相の地位に就くことを示される。


登場人物の関係

graph LR
    方臘 ---|兄弟| 方貌
    方臘 -->|父子| 方天定
    呉用 -->|接触・分析| 方臘
    許定 -->|監視・軍事指導| 方臘
    呉用 ---|対面| 許定

地名・拠点

地名種別解説
睦州州・地域方臘の勢力圏で、許定が塾を開いている地域
杭州都市江南の要衝。方臘から呉用が潜入・商いを禁じられた都市
太湖・洞庭山湖・拠点梁山泊軍が潜伏・再編を進めている江南の水域と拠点
江州都市長江沿いに位置し、北からの賊徒被害が訴えられている地域

用語リスト

用語読み解説
喫菜事魔きっさいじま菜食と宗教的結束を背景に方臘が勢力拡大へ利用する教義
度人どじん生きる苦しみから解放するために殺すという危険な教義
花石綱かせきこう皇帝の趣味のため江南から珍石や名木を徴発する制度
楮こうぞ紙の原料となる木。交易による軍資金調達の対象

歴史・文化背景

北宋末期、徽宗皇帝による花石綱の徴発は江南の社会経済を圧迫し、民衆の朝廷不信を強めていた。方臘はその困窮に乗じ、太平道につながる宗教的結束を利用して大規模な勢力を築いている。方臘陣営には青蓮寺の工作員と梁山泊の軍師が同時に入り込み、動乱前夜の複雑な謀略戦が展開されている。


Human in the Loop

方臘に接する呉用の視点で書かれているが、ああ~いるなあ、こういう社長。カリスマ性があり細かい事は気にしない。常にポジティブで、周りをハラハラさせる。そういった表向きの態度の底に、別の本心を持っている。

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