第1節 - 項充

第2巻 第2章 第1節

この節の概要

かつて梁山泊で水陸両用部隊を率いていた将・項充は、大敗した戦いののち、親しい同志を失った虚脱感から軍を一時離脱し、二百余名の部下と共に人知れず山に籠っていた。約一年間の過酷な山暮らしを通じて、兵たちの体力を練り上げながらも、項充自身は己の迷いや「替天行道」の志の意味について葛藤し続ける。しかし、月に一度届く聚義庁からの再編を告げる通達に突き動かされ、彼はついに山を下りて新たな大拠点である太湖の洞庭山へと戻る決意を固める。洞庭山の営舎で覆面を被った宣賛と再会を果たした項充は、自らの帰還を予期していたかのような組織の温かさと、以前よりも重い「千八百人の部隊の調練と将校の育成」という任務を与えられる。再び自らの原点である水陸両用部隊の調練に合流した項充は、だれている兵たちを厳しく一喝して鍛え直す中、自らの居場所が他ならぬ「水の上」であることを再確認していく。


主要人物

項充(こうじゅう)

  • 綽名:八臂那
  • 所属・役割:梁山泊。水陸両用部隊の将
  • 初登場:第2巻 第2章 第1節

もともとは山に籠って近隣の村を賊徒から守る活動を行っていたが、のちに梁山泊へと加わった。梁山泊では優れた操船技術と迅速な上陸戦術を組み合わせた独自の「水陸両用部隊」を鍛え上げ、多大な軍功を立てる。しかし、敗戦によって無二の友たちを次々と失ったことで深い喪失感を抱き、自ら山へ籠る道を選ぶなど、考えすぎて思い悩む繊細な性格を持つ。調練においては極めて厳格で妥協を許さない、叩き上げの頼もしい武人である。

宣賛(せんさん)

  • 綽名:なし
  • 所属・役割:梁山泊。洞庭山の聚義庁で事務や部隊調整を担う将
  • 初登場:第1巻 第1章 第1節

かつて「醜郡馬」として知られた梁山泊の将。現在は顔に覆面をあて、新たな拠点構築や軍の再編に向けた膨大な書類整理と黙々と格闘している。迷いを抱えて山籠りから戻ってきた項充を「ただの塞ぎの虫が囁いただけだ」と大らかに受け入れ、復帰の場とより大きな責任を与える包容力を持つ。

登場人物の関係

graph LR
    項充 ---|同志| 宣賛
    宣賛 -->|信頼| 項充

地名・拠点

地名種別解説
洞庭山拠点太湖の中にあり、船着場や営舎、畠、牧などが急速に整備されている、梁山泊軍再起のための新しい大拠点
太湖水域江南地方にある広大な湖であり、水軍の調練や再編活動の舞台となる主要な水域
杭州都市かつて項充が敗戦後に、青蓮寺の残党狩りから生き延びた同志たちを救出して船で運んだ、南方の活動領域

用語リスト

用語読み解説
水陸両用部隊すいりくりょうようぶたいどんなふうにも船を操り、鮮やかに迅速に上陸して戦闘を行い、再び船に戻るという、項充が独自に鍛え上げた精強な部隊
疾風しっぷう水軍で用いられる、軽快で速度の速い快速船
替天行道たいてんぎょうどう天に替わって道を行う、という梁山泊の掲げる志

歴史・文化背景

大敗によってかつての本拠地を失い、散り散りになった梁山泊軍が、江南の太湖(洞庭山)において本格的な軍の再編と再興を水面下で進めている段階である。過酷な敗戦は生き残った将たちの心に深い「塞ぎの虫(虚無や葛藤)」を植え付けたが、組織としての連絡網(聚義庁の通達)は死に絶えておらず、ふたたび「志」のもとに兵や将が引き寄せられるように復帰していくプロセスが、項充の姿を通じて克明に描かれている。


Human in the Loop

項充は、元々博州近郊の村々を守る私兵の頭領の一人で、盧俊義を救出したことがきっかけで梁山泊入りする。 あまり目立った活躍は見られないが、水陸両軍部隊を率いており、今後どのように活躍するのだろうか。

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