燕青(えんせい)
第1巻「玄旗の章」
第1章 天罡の夢
亡き盧俊義を父と慕い、彼が遺した銀を再び役立てることに強い使命感を抱いている。冷静な洞察力を持ち、周囲の状況や仲間の変化を鋭く観察する人物である。梁山泊崩壊後の長い沈黙を経て、再起への微かな希望と不安を抱えながら行動している。武松からの依頼により、使者として現れた若者・侯真を引き連れ、燕雲十六州へと向かう。侯真に対しては極めて冷徹かつ容赦のない稽古を施すが、その一方で彼が持つ天性の素質を見抜き、成長を促すための指導を試みる。盧俊義から教わった「人の眼をよく見る」という教えを今も胸に抱きながら、冷静に情勢を見極めようとしている。
第2章 地闘の光
かつて梁山泊の同志・盧俊義に仕え、その教えである「人の眼をよく見る」ことを重んじる聡明な武人である。以前に比べると風格や貫禄を増しており、段景住が手配した斥候の報告に対しても鋭く理知的な質問を重ねて真実を引き出そうとする。北方の城郭で宋の商人を装って店を開き、幻王や周囲の情勢に関する情報を収集しながら、旅の途中では同行する若い侯真に対して限界を超えるほどに厳しく容赦のない体術の稽古を課している。人を殺める技術を身につけた侯真に対しては、今度は「殺さないで済む方法」を考えるよう諭すなど、単なる強さの先にある武人のあり方を示そうとする。呉用の推測に基づき、行方不明となっている楊令を捜し出すことが旅の真の目的であることを侯真に明かす。
第4章 地損の光
かつて盧俊義のもとで古着の鑑定眼を養っており、その経験を活かして咸平に店を出し、商売人として振る舞いながら情報収集を行っている。侯真が秘めていた天性の武才を見抜けなかった自らの甘さを自覚する一方で、彼の成長を静かに見守る懐の深さを持つ。呉用の不遜な姿勢を警戒しつつも、武松の独自の決意を尊重して咸平にとどまることを承知する。
第5章 天猛の夢
盧俊義が築き上げた塩の道に精通しており、自身の足跡を隠して隠密に動くことに長けている。状況を冷静に観察する知性を持ち、咸平での遼軍の動きや金国の情勢を細密に分析している。聚義庁が失われた現在、梁山泊の再起には楊令が頭領として必要であると強く信じている。
第7章 地雄の光
咸平に店舗と家を構え、宋との秘密連絡や情報工作を指揮する知勇兼備の英傑。極めて冷静沈着であり、北方の勢力図や「海上の盟」の裏事情、さらには忍びの技法にも精通している。幻王の電撃的な来襲を完全に見越し、事前に店の商品や雇っていた女たちを避難させ、店自体を他者に売却する手続きを終えているなど、驚異的な先見性と実務処理能力を持つ。弟子である侯真に対しては、技術だけでなく間諜としての心構えや亡き父親の誇り高い生き様を語り聞かせるなど、精神的な支えともなっている。幻王の常識を超えた進軍速度に驚嘆しながらも、その真意と動向を確かめるべく、過酷な原野と急峻な山道を追跡する強い意志を持つ。